皆さま、ヘナというとどのようなイメージでしょうか?
写真のようなヘナタトゥー(メヘンディ)のイメージが強いかもしれませんね。ヘナはヘナタトゥー(メヘンディ)にも使用されますが、インドではトリートメントとして子供の頃から使うことが多いようです。
今回は、そんなヘナをご紹介しましょう。
ヘナ、ヘンナ、指甲花、ツマクレナイノキ
ヘナとはミソハギ科の植物で、インドや北アフリカなどの乾燥した地域に育ち、高さ3~6メートルほどの木に成長します。学名はLawsonia inermis、日本では指甲花(シコウカ)またはツマクレナイノキと呼ばれています。
ヘナは、インド伝承医学のアーユルヴェーダで薬草としても使われている他、頭皮につけることにより頭皮環境を整え健康な髪を生み出すとされているため、インドではトリートメントとして幼い頃から家先でヘナをしている光景を見ることができます。
ツマクレナイノキの名前の通り、昔から儀式などで髪・爪・手足に彩色するための染料として使われており、クレオパトラがヘナを使って爪を染めたという逸話もあるのだとか。現在でも、インドの結婚式でヘナは必須アイテムとなっています。
愛らしいその花には芳香があり、香料としても使用されています。
写真の花は白ですが、赤い色をした花の方が一般的です。
ヘナのチカラ
ヘナには赤オレンジ色のローソニアという色素成分が含有されており、タンパク質にからみ付く性質があります。そのため髪の表面をコーティングし、傷んだ髪にハリやコシを与えます。クセ毛や髪がごわつくなどの方は髪がまとまりやすくなり、乾燥してパサついた髪には艶やかな潤いを与えしっとりさせます。あらゆる髪質にトリートメント効果を発揮するところが、ヘナ最大の魅力ですね。
また、現在のカラーリングは化学変化によって染料を内部に定着させるもののため、髪の色素を薄くしたり、タンパク質の結合力を弱めたりと、どうしても髪や頭皮に負担がかかってしまいますが、ヘナの色素は髪や皮膚のタンパク質にからみ付くことによって染色されるため、ダメージを与えることはないどころか、むしろどんどん美しい髪になっていくのもヘナ染めの特徴です。
私もヘナに出会うまでは、雨の日ともなると泣きたくなるぐらい手におえないクセ毛の持ち主でした。子供の頃から少女マンガに出てくるようなサラサラの直毛が憧れだったので、はじめてストレートパーマをかけた時の髪の手ざわり!かなり感動したのを覚えています。
それで、ストレートパーマを何年かずっとかけていたのですが、髪は傷むし、お金はかかるし......ってことで断念。でも、もっと続けていたらよく聞く話のごとく、髪がだんだん細くなって、髪の量が減って......ってことになってたかもしれないので、早めに止めることができてよかったと思っています。
話が横にそれましたが、手強かった私の髪も今ではすっかり落ち着き、「髪、ツヤツヤしてキレイだね」とまで言ってもらえるほどになりました。全くもって、ヘナ様様です。
はじめてのヘナ
抜群のトリートメント力を誇るヘナですが、初めてのヘナで酷い色落ちや、頭皮の赤染まり、そして髪がバシバシになる「ヘナショック」なる状態に陥る場合があります。頭皮の赤染まりや色落ちは多少は誰でも経験することなのですが、下着までオレンジに染まるぐらい酷く色落ちしたり、頭皮が真っ赤っかに染まってしまったり、髪がゴワゴワのバシバシになるヘナショックは、ほとんどがパーマやカラーリングなどで髪や頭皮が傷んでいる場合に起こります。
そんな時、お腹の中が煮えくり返って、「ヘナのバカヤロー!二度とするか!」と言いたくなるかとは思いますが、そこをぐっとおさえ、例えば一日置きとか三日置き、一週間置きぐらいの短いスパンで3回ほどヘナを繰り返すと、しっとりと落ち着くことがほとんどです。
そうなれば、しめたもの。後は一ヶ月に一度程度のヘナを繰り返すことによって、ツヤツヤの美しい髪になっていきます。
髪や頭皮が傷んでいる場合は、あらかじめヘナの前に良質なオイルを使ってオイルヘッドマッサージをすることにより、ヘナショックや頭皮の赤染まりなどを緩和することができます。
オイルを使ったヘッドマッサージは頭皮ケアにもなりますので、おすすめです。
また、ヘナにはリラックス作用があるため、抗い難い程の眠気に襲われることがあります。なので、初めてヘナをする時は特に、ゆったりとした時間が取れる時にした方が良いです。私もヘナをしながらよく昼寝をしちゃいますが、すごく気持ち良かったりするのですよね、これがまた。ただし、上手に寝るか、どんと来い!ぐらいしっかり防御しないと、ヘナがはみ出して色んなところに付いたりしますけど......。
いずれにせよ、はじめてヘナをする時は、ゆっくり時間が取れ、その上翌日はお休みというタイミングが良いように思います。
健康な黒髪は赤く染まりません
「トリートメントは魅力だけど赤い髪は困る」という方、ご安心ください。ヘナは白髪をオレンジ~レンガ色に染めることはできますが、黒髪を赤く染めることはできません。厳密に言うと黒髪も多少染まっているのですが、水彩絵の具で黒色を塗った上から赤色を塗っても赤色にはならないように、染まっていてもあまりわからないということなのですね。
でも、定期的に長年ヘナをし続けることによって、燦々と降り注ぐ太陽の光の下など光が当たった時などでは、髪が赤っぽく見えたりします。部屋の中とか通常の明るさだと、ほとんどわからないぐらいかと思います。
ただし、髪の色が淡い(明るい)方や、痛んで髪が茶色くなった方などは赤っぽく染まります。私が初めてヘナをした時は髪の毛先の方が赤紫になりましたので、髪の状態によって色の入り方は異なるようです。
ヘナには黒髪を赤く染める力はないので、カラーリングの髪が伸びた、いわゆる「プリンちゃん頭」も元に戻すことはできません。ですが、プリンちゃん頭にヘナをすることによって、わかりにくくすることはできます。
「初めてヘナをした翌日の尿が緑だった」という場合があります。なぜそうなるのか、はっきりとした医学的な理由はわかりません。ですが、多くの方がその経験をしていますが特に健康被害の報告はありませんので、心配はないかと思います。私も初めてヘナした翌日、確かに緑っぽい尿が出ましたが、全然問題ありませんでした。
逆に、経皮吸収を実感できる経験かもしれません。腕の皮膚と比べて頭皮は3.5倍も経皮吸収率が高いといわれていますので、洗髪や白髪染めなどはケミカルなものは極力避けて、本当に安心できる自然のものを使用したいものですね。
上手な染め方のコツ
2016年産のマハラニ ヘナは 2.35%(SGS研究所検査結果)という高いローソニア色素を含有していますが、そこはやはりヘナの色素を十分に引き出して、なるべく濃く染めたいもの。
そんな場合は、以下のポイントに留意しましょう!
●熱湯で溶かさない
ヘナは高熱で色素が減退するため、熱湯でないお湯(50~60℃が最適)で溶かしてください。
●適度な濃さで溶く
薄いペーストは染まりにくく、また、固すぎるヘナも染まりにくくなります。
●酸やタンパク質を混ぜない
レモンやアムラなどの酸、あるいは、タマゴやヨーグルトなどのタンパク質や大量のオイルなどは色素を減退させますので、染めるのが目的の場合は混ぜない方が良いです。
●寝かせすぎない
ヘナのペーストを寝かせすぎると染毛力が落ちてしまいます。
特に石臼挽きヘナは長時間寝かせると特有のねばりが落ち、ぼそぼそして塗りにくくなりますので、寝かせ時間はヘナを溶かした後30分程度で、あまり長時間寝かさないようにしましょう。
●シャンプーで洗い流さない
ヘナは、必ずお湯で洗い流してください。シャンプーや石けん類で洗い流すと、せっかくのヘナが落ちやすくなります。
また、ヘナには脱脂作用があるため洗髪代わりになりますので、ヘナの後にシャンプーを使用する必要はありません。
ヘナを洗い流す際「ヘナの色落ち」といって、ヘナ色の水がいつまでも出てきますが、キレイな水になるまで全部洗い落とそうとしつこく洗わないで、ペーストが落ちる程度に洗い流しましょう。
ヘナは1~2日かけて定着し、安定しますので、できればヘナ後2~3日は石けんやシャンプー類で洗わずに、お湯洗いだけにするのが望ましいです。
●冷やさない
寒い時期にヘナをする場合は、冷やさないように注意してください。
ヘナは温度が低いと染まりが悪くなるので、冬場など寝かせている間にペーストが冷たくなってしまった場合は、湯煎などをしてホカホカに温めてから使用してください。
また、塗布した後は暖かい部屋で過ごし、ペーストが冷たくなってしまわないようにラップの上からタオルを巻いたり、毛糸の帽子や保温キャップを被ると良いです。ヘアドライヤーなどでキャップの上から短時間加温するなども良いでしょう。
真夏の暑い時期以外は、ペーストにユーカリオイルを混ぜるのもおすすめです。
●ヘナの発色をすすめるには自然乾燥ががおすすめ
ヘナの後、ヘアドライヤーで速乾させると、ヘナは十分に発色しにくいことが実験でわかりました。
ヘナ染めの後はヘアドライヤーなどを使用せず、タオルドライなどで自然乾燥をおすすめします。
とはいえ、冬場は特に、どうしてもヘアドライヤーで乾かしたくなってしまいます。そんな場合は、翌日などに再度髪をお湯洗いして自然乾燥させるなど、数日にわけて発色を促すことができます。
案ずるより産むが易し
ヘナいいよ!と聞いても、やはり「面倒臭そう」ってあたりがネックになって、なかなか手を出せない方が多いのも事実。まぁ、面倒臭いといえば面倒臭いかもしれません。でも、そこは慣れなのでは?と思います。慣れてしまうと晩ご飯の支度前にちょちょちょとヘナを塗り、そのままご飯を食べてからお風呂に入って洗い流す......とか、夜寝る前にヘナを塗り、朝、シャワーを浴びる際に洗い流す......なんてことも苦もなくできるようになります。
白髪を染めるにしても、トリートメントをするにしても、ヘナは使っていて気持ちがよいため、とても体が喜んでいる感覚がします。
薬品でなく自然の物のため安心感がありますし、長く続ければ続けるほど髪の色艶が増し「やっぱりヘナにしてよかった」と、満足度が高くなってきます。
どのようなヘアケアを選択するかは皆さまのライフスタイルにより異なりますが、より自然なヘアケアを重視される場合はケミカルなカラーリングなどはおやめになり、ナチュラルで体にやさしく気持ちのよいヘナやハーブシャンプーでケアされることをご提案します。
By ゆかちん
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