今は ラピュタがなぜ亡びたのか 私 よくわかる
ゴンドアの谷の歌にあるもの
土に根をおろし 風とともに生きよう
種とともに冬をこえ 鳥とともに春を歌おう
どんなに恐ろしい武器をもっても
沢山のかわいそうなロボットを操っても
土から離れては生きられないのよ!
地上で起こっていることと地中で起こっていることの関係性について、近年いろいろな本が出版されています。
「木々は、根っこや菌根菌(菌のそばにいる菌)を通じてコミュニケーションを取り合っている。」とか、
「枝葉や花や実の状態は、土の中の状態の反映である。」とか、
「植林などによって土の中の生物多様性が失われているところほど、土砂崩れが起きやすい。」とか。
今回紹介する『土中環境 忘れられた共生のまなざし、蘇る古の技』は、土の中に意識を向けて、環境の再生に励む実践家の人たちが待ちに待った1冊です。
待ちに待っていた人が多すぎて、6月12日発売の初版は予約で完売。
第二刷も予約で完売。
三宅商店に初めて届いた30冊は第三刷。(そして即完売)
ということで、第四刷が届くタイミングにあわせてこの記事を書いています。
土中の環境を整えること。古来より存在する土木技術は、いかにして環境を守ってきたのか。その技術は現代を生きる我々にどのように語りかけてくるのか。造園から環境を考える一冊。
著者:高田宏臣
株式会社高田造園設計事務所代表、NPO法人地球守代表理事。1969年千葉生まれ。東京農工大学農学部林学科卒業。1997年独立。2003~2005年日本庭園研究会幹事。2007年株式会社高田造園設計事務所設立。2014~2019年NPO法人ダーチャサポート理事。2016年~NPO法人地球守代表理事。国内外で造園・土木設計施工、環境再生に従事。土中環境の健全化、水と空気の健全な循環の視点から、住宅地、里山、奥山、保安林などの環境改善と再生の手法を提案、指導。大地の通気浸透性に配慮した伝統的な暮らしの知恵や土木造作の意義を広めている。行政やさまざまな民間団体の依頼で環境調査や再生計画の提案、実証、講座開催および技術指導にあたる。
この本を仕入れるきっかけになったのは、フェイスブックグループ「三宅商店コミュニティ」での投稿です。
(以下、投稿の一部を抜粋)
「本の発注とか出来ないでしょうか?大地の再生スタッフ全員が発売待望してる本。発売前なのに、既にAma◎onベストセラー付いてます。Ama◎onで予約するのもなんだし、まさに三宅商店に関わる皆んなにも読んで手応えのある本となるはず。」
大地の再生は、土中の空気と水の循環を促すことで環境の再生を行う実践的な取り組み。
全国各地の田畑や家の庭の環境を再生させること、ひいては地域の環境そのものを再生させていく取り組みです。
↓以下は、投稿してくれた彼が我が家の庭の通気をしてくれた時の写真。昭和に作られた庭の多くは、コンクリートや石で囲まれて土が呼吸しずらくなっている。そこに縦穴を掘って、炭や枝を入れて、呼吸できるようにしていく。
↓庭石の周りの土は窒息状態になっていることが多い。そこに溝を掘って、炭を入れて呼吸できるようにする。こういった場所を掘り返すと、硬い灰色の粘土のような土になっていることがある。これを「グライ化」と言う(『土中環境』に詳しく書かれています)。グライ化した土は、空気と水の通りをよくすると栄養豊かな土に変わることが多い。窒息していた土が「息を吹き返す」ようです。
今の時代、本はネットで検索をかけて簡単に買うことができます。
そこをわざわざ三宅商店に問い合わせをしてくれました。
手間暇をかけて環境をよくしようとしている人たちが、手間暇をかけて社会そのものをよくしようと思っている、ということがとても伝わってきました。
そのことに対して、真摯にお応えしたいと思いました。
「何を買うか」はとても大事なことですが「どこで買うか」はそれ以上に大事なことのように思います。
地域の中に、どんなお店があるのか。
そのことが地域の環境に及ぼす影響はとても大きなものだと思います。
どの店がいいとか、どの店が悪いとかいう二項対立な次元ではなく、社会のバランスとして、身の回りにあるお店が全部、オーナーのことも知らないし、店員さんも知り合いじゃないし、どんな価値観で経営しているかもわからない世界って、想像するとちょっと怖いです。
そして実際、世界はどんどんそちらの方向に進んで行ってしまっているようにも見えます。
AIによるアルゴリズムと機械的なマーケティングによる仕入れと販売のループ。
直接「何がほしいですか?」と聞けたり、直接「これがほしいです」と言えるような、ハラを割った、生身の交流があるマーケットが、どんどん減ってきているように思います。
↓「極まれば転ずる」巨大なマーケットが地域経済に壊滅的な影響を及ぼす事がわかってきて以来、例えばアメリカのカリフォルニア州には、その地域に住む人たちが共同出資して、共同運営しているコミュニティマーケットが数多く生まれました。
商品がオーガニックであるだけでなく「どんなコミュニティでありたいか」を話し合いながら「自分たちが大事にしたいもの」を自分たちで仕入れて、自分たちで流通させています。
私たちの目指すところは、顔の見える関係の中で巡る、地域を超えた「意識のローカルコミュニティ」を支えるマーケット。
商品を仕入れて販売するには、常にリスクが伴います。
仕入れる為にお金を払って、商品が売れたら初めて、仕入れ資金を回収できます。
いわば先行投資です。
商店は常に「在庫が余るかも知れない」というリスクを抱えながら、勇気を持って商品を仕入れています。
大きな資本がある商店なら、大きな賭けもできるかもしれません。
しかし、三宅商店のような零細企業にとっては、どんな商品を仕入れる時も、ハラハラドキドキです。
今回は「僕たちの周りで20冊分は、三宅商店で買うと言っている」という声をもらったことで、そのハラハラを「買い手が見える安心感」に変えることで、仕入れが実現しました。
肚(ハラ)は、その字のごとく、私たちの土中環境。
買い手のハラが見えることで、安心して仕入れができる。
売り手のハラが見えることで、安心して購入ができる。
それは、経済の土中環境の再生と言えるかもしれません。
肚がよくなれば、土の上にある経済そのものが元気になっていくのではないでしょうか。
「商店」と「お客さん」という既存の垣根を越えていくために作ったフェイスブックコミュニティで、早速このようなアクションが生まれたことはとてもうれしいことです。
今後も、本の感想(レビュー)を書いてもらったり、コミュニティ内で感想をシェアしあっていけたら嬉しいです。(オンライン朗読会もやりたいと妄想中!)
それは、三宅商店の売り上げ向上のためだけでなく、こういった本の魅力を、お店とお客さんが一緒になって伝えていくこと、この本の中にあるような世界観を根付かせていくことにつながるとおもっています。
「消費動向が世界を変える」
何を買うかだけでなく、消費という行為を通じてどんな関係性を育んでいけるか。
その先にどんな未来を創っていけるか。
今回のような、新しい仕入れの形を実験&実践できたことは、本当にありがたいことです。
投稿をくれた方とのやりとり、出版社とのやりとり、フェイスブックコミュニティでの交流を通じて、たくさんのことを学んでいます。
ひとつひとつの学びを積み重ねながら、皆さんとともに社会の土をよくしていけたらと思います。
[目次]
第1章 土中環境とは
(土中環境への目覚め;森林の状態と土中環境の相関性 ほか)
第2章 大地の通気浸透水脈
(地形と大地の通気浸透水脈について;健康な河川の仕組みとその崩壊とは―貯水ダムとシルトの流亡プロセス ほか)
第3章 暮らしを支える海・川・森の循環
(信仰に守られてきた大地の水循環―弘法大師の足跡から;「川のいのち」というもの―アイヌの暮らしと北海道の河川 ほか)
第4章 安全で豊かな環境を持続させてきた先人の智慧と技
(過去の土木造作の技と智慧を見直す意味;土砂崩壊を土中環境から考える ほか)
第5章 土中環境改善の実例5例
(太夫浜 海辺の森、海岸松林の環境改善(新潟・北区)
吉野山 太閤花見塚の環境再生(奈良・吉野町) ほか)
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