味噌みそミソ手前みそ 日本の国菌こうじ菌

大寒も過ぎ、三宅商店オンライン部では一気に味噌作りの機運が高まってきました!

今年は熊本県の自然派きくち村さんから、八天狗(ハッテング)という幻の大豆を仕入れることができました。

神に近い神通力を持つとされる大天狗、「八天狗」の名を戴くこの大豆。

しかも農林水産省の農業生物資源研究所がゲノム解析をしたところ、データベースにも記載されていない、日本古来の「幻の」在来種であることが判明したそうです。

味噌、醤油、豆腐、納豆、枝豆、きな粉、湯葉、大豆油などなど私たちの暮らしになくてはならない大豆。

日本の食文化の中心と言っても過言ではないほど様々なところで大活躍している大豆なのに、なんと日本の大豆自給率は5%しかないのだそうです。衝撃です。

少し古い統計(平成13年)ですが、日本人が一年間に食べる大豆の消費量は、約507万トンで、そのうち約381万トンはサラダ油などの食用油に使われ、残りの約100万トンが豆腐、納豆、味噌、醤油などの食品用として利用されています。

そのうち国産大豆の生産量は、27万1000トンで、食品用の自給率は26%となっています。全体では5%にとどまります。

農林水産省のHPの「こどもそうだん」というコーナーで、中学生から「日本人は大豆をむかしから食べているのに、なぜ自給率が低いのですか?」という質問があったので、その返答を抜粋してみます。

(1)大豆は単収が低く、かつ豊凶変動があり、収益が安定しないこと。

(2)機械化が遅れ多労を要することなどが作付意欲を大きく減退させていること。

があげられます。

これが、我が国の農林水産省の出した答えです。

うーん。あまり納得ができないのは私だけでしょうか?

自給農を始めて2年ですが、大豆はもっとも育てるのが簡単な作物の一つです。

晩春に種を蒔けば秋には収穫できます。私は基本的に自然農の中でもいい加減な”仏農(ほっとけのう)”ですので、栽培の間 気が向いたら草刈りをするくらいで、土寄せや追肥などをしたことはありませんが、自給分をゆうに超える大豆が収穫できています。

栄養学者で農学博士である川島四郎先生の「続 まちがい栄養学」によると、明治時代まで大豆は国内で自給していたそうです。

自国領土内の繁栄のため、殖産興業に力を入れていた江戸時代の大名たちは、味噌や醤油の工業的生産を奨励したので大量生産が行われるようになり、北は津軽味噌、仙台味噌、信州味噌、江戸味噌と銘打つ特産が現れ、各国、各村、果ては各戸でもよい味噌をつくることが競われ、「手前味噌」の名もこういった背景から使われるようになりました。

この本を読む限り、政府の政策がしっかりしてさえいれば自給は可能なのでは?という印象です。「よっ!江戸の大名!!」

しかしどうやら、明治27年~明治28年の日清戦争と、明治37年~明治38年の日露戦争から昭和6年の満州事変にかけて、日本が満州に権益を得たことで大豆の生産を依存するようになり、日本での生産は衰退していったようです。

これだけ大豆文化が発達しているのに、大豆が自給できていないなんて、なんだか胸を張って誇れませんよね。。。

大豆について、もう一つ面白い記事を発見しました。

大部分のヨーロッパには土の中に根粒菌がいないので、大豆の耕作は不可能なんだそうです。

日本では、根粒菌(バクテリアの一種)が大気中の窒素をアンモニアに変換し(これを窒素固定といいます)、植物の生育に欠かせない窒素を大豆に供給する働きをしてくれているおかげで、肥えを入れなくても痩せた土で栽培できる大豆ですが、ヨーロッパの土にはそれがいないので、栽培できないなんて驚きです。

「大豆を日本が育てなくてどこがやる!」という感じですね。

八天狗をご購入の方は、ぜひ少し残しておいて、種を繋いで増やしてみてください。

プランター栽培もできますよ!

愛の微生物『こうじ菌』

日本酒、味噌、お酢、漬物、醤油、焼酎、泡盛、甘酒など日本には数々の素晴らしい発酵食品がありますが、これはこうじ菌を抜きに作ることはできません。そのくらいお世話になっているこうじ菌ですが、知れば知るほど愛しくなってきます。

私たちにおなじみのこうじ菌さんは正確には「ニホンコウジカビ(Aspergillus oryzae:アスペルギウス オリゼ)」という名前です。

驚くべきことに、アスペルギルス属の他の菌のほとんどが毒を出し、地上最強のアフラトキシンという毒を出すものもあります。

日本のこうじ菌オリゼさんの遺伝子にも毒を生産するコードが存在してはいますが、イニシエーターとレギュレーター(開始したり制御をする遺伝子)がないため毒を作りません。

毒を作らないだけではなく、デンプンをブドウ糖に、タンパク質をアミノ酸に分解する酵素を作り出し、味噌や醤油、日本酒の製造に使われ、日本人の食と健康を支えてくれているなんて、愛以外の何者でもないですよね。

そして、この動画を見てみてください。あなたもこうじにメロメロになります。

コージーズー こうじのうた

【作曲】森ゆに【作詞】発酵兄妹【アニメ】小倉ヒラク 【振り付け】flep funce!

【プロデュース】五味仁 & 小倉ヒラク


日本が世界に誇る こうじ菌。

この動画で、こうじ菌が世界中の子どもたちのヒーローになったらいいなぁ。

ちなみに「こうじ」という漢字は2種類ありますね。「麹」と「糀」です。

 こうじは、米、麦、大豆などの穀類で作りますが、 それらのこうじ全般を表す漢字として、現在では主に『麹』という字が使われています。 これは中国から伝わった漢字です。 もうひとつの『糀』という字は、 明治時代にできた国字(和製漢字)で、米こうじのみを表すそうです。


青カビがペニシリンを分泌して自分だけ生き残ろうとするように、そのほかの有用菌は、ほとんどが自分だけが生き残ろうとする性質を持っています。戦いに勝ち抜く欧米の考え方と共通するように感じます。

これに対してこうじ菌は、他の微生物と共生し、ペニシリンのような他を殺す物質を出しません。また、たとえば乳酸菌がこうじ菌によって格段に元気になるように、自分自身を提供して周りの有用菌を元気づける優しい菌です。

(株)源麹研究所会長で農学博士の山元正博さんの素晴らしいお言葉を引用させていただきます。

「だから私は主張したいのです。

 麹は愛の微生物だと。

 和を以って尊しとなす日本人。

 まさに日本人を代表するような菌。それが麹菌です。」


三宅商店の自慢のこうじ菌たちは、創業以来完全無添加にこだわってきた名刀味噌本舗からきました。

菌たちの愛をどんどん体に取り入れて、元気もりもりになりましょう!

「和を以って貴しとなす」

聖徳太子の制定した「十七条憲法」の第一条に出てくるこの文章。

人々がお互いに仲良く、調和していくことが最も大事なことであるという教えです。

「礼記」には「礼は之和を以て貴しと為す」とあります。

『「和」の精神とは、体裁だけ取り繕ったものではなく、自分にも人にも正直に、不満があればお互いにそれをぶつけ合い、理解し合うということが本質ではなかろうか。』とあります。

本当の意味で私たちが和人になった時に実現するのでしょうか。

商店スタッフも大好きで、先日ライブを観に行ってきたカラムシさんも叫んでいます。

「Asia Unite」

アジアの平和の歌です。

大豆とこうじが揃ったら、、、

手前味噌を仕込んでみましょう!

大寒のこの時期に仕込んだ味噌は、澄んだ水と空気により発酵がゆっくり進むため、とてもいいものができるといいます。

詳しい作り方は、私たちの師匠、冨田貴史さんが書いてくださった三宅商店ブログのアーカイブからどうぞ!

お子さんがいらっしゃる方は、こちらの動画を見ながら一緒に作ってみてはいかがですか?

【作詞作曲】森ゆに 【企画制作】小倉ヒラク【振り付け】flep funce! 

【仕掛け人】五味仁(五味醤油)

【問い合わせ先】ogura.hiraku@gmail.comまで「手前みそのうたを見ました!」とご連絡下さい。

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毎月30日はお味噌の日

30日は三十日(みそか)と読めることから、語呂合わせでお味噌の日なんだそうです。

毎月お味噌の日に、少量ずつでも味噌を作ってみるというのも面白そうですね!

味噌の仕込みは寒仕込みと言われるように寒い時期のイメージがありますが、一年中仕込むことができます。

季節によってこうじ菌たちの働き方も変わってくるので、同じ材料で作っても思いがけない味の違いが出てきそうですね。

私も昨日、味噌を仕込みました。

初めてこうじを起こすところから始めたので、どんなお味に仕上がるかとても楽しみです。

こうじ起こしをしている間は、部屋中あまーいいい香りに包まれ、幸せでした 〜

手前味噌の写真をどうぞ!

おいしくなあれ


白味噌・赤味噌

味噌には白味噌、赤味噌とありますが、どちらも原材料である大豆とこうじは同じです。

違いは製造工程にあります。

白味噌は大豆を茹で、赤味噌は蒸して作るそうです。

茹でた大豆で作る白味噌は、茹で汁の中にアミノ酸が溶け出すため、味噌の色が白くなるのです。

一方、蒸した大豆で作る赤味噌は、アミノ酸が加熱により褐色物質を生み出すメイラード反応という現象が起こるため、色の濃い味噌に仕上がるそうです。

目に見えない世界でも、ほんの少しのお手伝いをしてあげることで色々な化学反応が起こり、結果が大きく変わってきます。

私たちの世界も、ほんの少しの気付きだけで大きく変わってくるのかもしれません。


三宅商店の住所も

三宅商店のオフィスは加賀郡吉備中央町というところにありますが、ここはもともと加茂川町という名前でした。

2004年10月1日 に旧備中国の上房郡賀陽町と旧備前国(一部備中)の御津郡加茂川町が合併して誕生したのが吉備中央町です。郡名は旧町名の頭文字を取って新たに加賀郡とされました。

加茂という名前がつく市町村は全国にたくさんありますが、一説によると、この加茂という字は、醸し(かもし)という言葉からきているそうです。

醸し→醸氏→加茂

きっとこの地は味噌や醤油、日本酒など、こうじ菌を巧みに操る凄腕の醸氏がいたのでしょう。

三宅商店もいつの日か、麹室を作り、自然菌を使った味噌を作ってみたいものです。


byまゆみ



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