Shine研修3日目「味噌は自分で作るもんだ」の味噌づくりだけじゃない味噌づくり

Shine研修の最後を飾るのは、味噌作り。

これをお読みの皆さまの中でも、味噌を作ったことのある方は多いことでしょう。なので、きっと皆さま「ああ、味噌作りのワークショップね」みたいな感じかと思います。はい、私もそんな感じでした。参加するまでは。

でもね、普通の味噌作りワークショップで終わらないのが冨田貴史さん! さすがでございます。


味噌を作るその前に

味噌作りに必要な材料は、麹と大豆と塩。これのみ。

麹が多いと白味噌になったり、塩が多いと赤味噌になったりするようですが、材料はどれも同じです。


麹には「米麹」「玄米麹」「麦麹」とありますが、「米麹」が一般的に普及されています。玄米麹に比べて甘みがあり、醗酵香が軽やかな感じです。


「玄米麹」は作られている蔵元さんが非常に少なく、スーパーなどではあまり見かけません。ほのかな苦味やえぐ味を含んだ玄米ならではの深いコクが楽しめ、『昔ながらのお味噌』というようなお味噌の香りになる傾向にあります。


九州地方や四国・中部地方でよく使われている「麦麹」は、米麹で作った味噌よりもあっさりとして、さらっとした飲み心地がするお味噌汁になります。麦はクールダウンする作用があるので、暑い時期や一日中太陽の下で働いている方などに特におすすめです。


今回使用したのは、「いかりみそ」の特上生米こうじ。レゲエアーティスト”カラムシ”さんの実弟である「てっちゃん」こと碇哲也さんが三代目を継ぐ「いかりみそ」の生米こうじは、三重県産のコシヒカリを使用しています。あ、もちろん、農薬・化学肥料は不使用です!

講師の冨田貴史さんは、当時「井上糀店」に勤めていた哲也さんに「原発事故後、被災地に暮らす友人達に手作り味噌を届ける為、ことあるごとにアドバイスをもらった」仲なのだとか。

井上糀店は、味噌を売ってるのにも関わらず「味噌は買うもんじゃない。自分で作るもんだ。」なんて言っちゃうような、数少ない「手」でお味噌を作ってる、こだわりのお店の一つ。「自分は麹を売りたいし、麹を作れる人間を増やしたいし、味噌を作れる人間を増やしたい。」っていうスタンスなのだそう。

そんな井上糀店で修行された碇哲也さんが作る「いかりみそ」の生米こうじは、「井上糀店」のスピリットを受け継いだ上に哲也さんの熱い熱い想いがこめられた、魂の入った米こうじなのです。

三宅商店でも個数限定で取り扱っております。在庫が少なくなってきているので、是非この機会をお見逃しなく!


ちなみに、お兄さんであるカラムシさんの3rd アルバムも、三宅商店にて絶賛発売中です。

3rdアルバムなのに、なぜか『壱』というタイトルですが、10番目に入っている「手前味噌」って曲には「麹は “いかり” で買ってね」とちゃんとPRも入っていますよ。チェケラ!


味噌を作ろう!

お味噌のレシピは色々ありますが、冨田レシピはこんな感じ。

大豆は浸水すると約2.2倍にふくれるので、乾燥大豆の約2倍の麹を用意します。

麹の量を2倍にするのは、

・甘さが増えて口当たりがよくなるので子供がよく食べる

・麹由来の微生物がめっちゃいる味噌を摂ることで体内環境を整える

・味噌の発酵を助ける

などのメリットを出すためだそうです。

そして、塩分10%弱にしたのは、麹菌をたくさん摂って欲しいのに塩分が多いと食べてもらえなくなるから。冨田さんが哲也さんに「何パーセントの塩分濃度を切ったら味噌にならないかね?」と相談したら「8%だね。9%強、10%弱なら丁度いいんじゃない?」と教えてもらって、10%弱に落ち着いたのだとか。

「麹由来の微生物をたくさん摂って欲しい」という冨田さんの愛から生まれたレシピなのですね。


さて、レシピと手順を確認したところで、外に出て実習です。


よく洗って前日から浸水しておいた大豆を火にかけ、4時間程度煮込みます。



こんな風に、親指と小指でつまんで簡単に潰せるようになったらOK!

大豆の煮汁は後で粘り調整に使いますし、余ったら味噌汁やスープなどの良い出汁になるので、捨てないでくださいね。



大豆の粗熱を取っている間に、麹をおこします。

麹をおこすというのは、ほぐしてバラバラにしていくっていうこと。このままでは麹菌のモフモフが邪魔をして大豆と合わせても味噌になるには程遠い感じなため、手で揉んで、麹をよくほぐします。



麹がほぐれたら、今度は塩を加え、よく混ぜます。麹が化学反応を起こして大豆を醸すにはミネラルが必要なので、びっしり麹に塩の膜がつくぐらい、よーく、よーく塩と混ぜ合わせるのが美味しい味噌を作るポイントです。



大豆が触れるぐらいに冷めたら(と言っても、あまり冷めすぎると潰れにくくなるので、触れるか触れないかぐらいの熱さになったら)、手で大豆を潰していきます。手の指で潰すよりも、手の平をタライに押し付けて体重をかけて潰していく方が負荷が少なく、無理なく潰せます。



大豆が十分に潰れたところで、先ほどの麹を投入。大豆の隅々まで麹が行き渡るように、更によく混ぜ合わせていきます。

この時、粘りが少ないようであれば、大豆の煮汁(味噌屋用語で「アメ」と言うそう)を加えます。



みんな真剣です。

ひたすら、コネコネ。。。



手でこねるのは、乳酸菌を含んだ常在菌をお味噌に混ぜたいから。

自分の体の特性を持った自分の常在菌を入れるだけでなく、いろんなタイプの常在菌が混ざり合うことによって、可能性が広がるわけです。

ってことで、3チームに別れてコネコネしていたタライも、全てのタライに全ての人の菌が入るように、みんな順繰り順繰りこねましたよ。


先日、スタッフの子供の保育園で「親子で味噌を作る」という催しがあった際、保育園の園長先生に「衛生上、ビニール手袋をして混ぜるように」と言われたそうなのです。

園長先生のご胸中お察ししますが、そこは心配ご無用!

なぜなら、例え子供の手に大腸菌などが着いていてそれが味噌に入ってしまったとしても、病原性大腸菌O157などの菌は死滅するという測定結果があるのです。

しかも、O157だけでなく、大腸菌や黄色ブドウ球菌などの病原菌が味噌に混入して食中毒を起こしたという症例は今まで一例も報告されていないそうです。

麹菌パワー、おそるべし・・・。



手についた麹が混ざった大豆ペースト、美味しくて思わず食べちゃうよねー!の図。



そんなこんなで出来上がった味噌の素。

これからしばし寝かせます。 どんな美味しいお味噌になるのか、楽しみです❤️


詳しい味噌の作り方は、 ↓ こちらのブログをご参照くださいませ。

あたらしくてなつかしい経済の物語り(7)「味噌のつくり方・後章」


碇哲也さん曰く、

「味噌はカビが生えてはいけないもの」「味噌は冬にしか仕込んではいけない」という誤解が生まれ「味噌づくりは難しい」という雰囲気が広がっている状況ですが、基本を押さえれば味噌作りに失敗はありません。味噌には優劣ではなく個性があるだけです。

とのこと。

どうです? ちょっと肩の力が抜けましたか?

「大豆を焦がさないように煮る」というところだけは必須ですが、後は手順通りに作れば、どれもちゃんと味噌になるのです。


ちょっとお味噌が作ってみたくなったあなたに、「手前味噌セット」絶賛発売中です!


作ってみたいのはヤマヤマだけど、ちょっとそんな暇ないわー!

っていうあなたは、天外天味噌をどうぞ。10月~4月までの期間限定販売です。あと一ヶ月ほどで終了なので、お買い漏れの無きよう。



自分ごと

この3日間を通して冨田さんがずっと言い続けていたのは、「場作り」っていう言葉。

冨田さんの言うところの「場」っていうのは、「自分ごと」として物事に取り組んでいける人達によるチームみたいなものでしょうか。

「自分ごと」として捉えることができた時、一人一人の動きが変わります。

ただ単に「参加者の一人」としてその場に存在していたのか、スタッフ的な「作り手側」としての感覚でその場に存在していたのかで、自分自身が見える景色も、その場のエネルギーも、ずいぶん違ったものとなります。

世の中は「誰か」が変えてくれるのではなく、自分自身が変えていくのですよね。

それは総理大臣になるとか、大統領になるとか、世界を統一「させる」とか、そんな大きなことではなくて、一人一人が「世の中を変えていくんだ」という意識と共に起こす、ほんの些細な変化の積み重ね。

例えば、洗濯洗剤を使うのをやめ、マグちゃんに変えるだけで水の使用量も減り、環境汚染の心配も全くなくなる_そんな小さな変化を実践する人が増え続けた時、目に見えるような大きな変化が訪れるのは想像に難くないところです。小さな一歩から始まる、小さな小さな変化が大きなうねりとなり、ついには(結果として)「世界が一つになる」なんてことが起こったとしたら、最高にハッピーですね!


三宅商店のキャッチコピーは「Spend Shift 世界をつくるお買い物」ですが、スタッフ一人一人が「自分ごと」として世界をつくっていくことを、今一度再確認した3日間でした。

三宅商店でお買い物をしてくださる全ての方々が、「小さな変化」を起こすきっかけとなるような製品のご提供を通し、「自分ごと」として「世界を変える小さな変化」の礎となれるよう、これからも精進して参ります。

皆様のお引き立てのほど、よろしくお願い申し上げます!


By ユカチン




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