■あらためて、土用期間をイメージしてみましょう
昼間が最も長い夏至を過ぎて、40日ほどが経過しました(7月31日現在)。
今回はあらためて「あれからどれくらい経って、今どんな感じなのか」を振り返ってみたいと思います。
さて。
夏至を過ぎて15日ほど経つと、二十四節気の「小暑」がやってきます。
「小暑」は今で言う、7月7日頃ですね。
「小暑」の頃は、詠んで字の如く、暑さが本格的になり始める頃です。
一日の中で例えるなら、太陽が最も高い位置に来る「正午」から少し太陽が傾き出した、昼下がりの暑さと似ていますね。
そして「小暑」からさらに15日ほど経つと「大暑」になります。
「大暑」は今で言う、7月23日頃です。
これも字の通り、まさにここからが暑さの本番です。
そして、夏の終わりにあたるこの時期が、一年で最も暑い時期と言われています。
季節が極まり、転じていく前の、まさにピークのような時期ですね。
そして、この「大暑」の時期をまるっと含む約18日間が「夏の土用」です。
夏の土用期間は、7月20日頃から8月6日頃までの約18日間。
今年は8月7日の「立秋」が秋の始まりにあたりますので、その前日の8月6日までが「夏の土用」になります。
■暑さのピークは、ひと息入れて体を休めるとき
「大暑」の15日間はまるっと「夏の土用」に含まれます。
この頃は、一日の中で言えば太陽が最も高く昇る「正午」から2時間〜3時間ほど経った時間帯と似ています。
上から照らす太陽の熱と、太陽によって温められた大地の熱が混ざりあう、最も暑い時。
この時を古くは「お八つ刻(おやつどき)」と言いました。
暑さが極まるお八つ刻には、鐘を8つ鳴らして休憩を促し、お茶や甘味を取って一息入れていたのでした。
「夏の土用」にあたる今の時期は、一年の中でにおける、「ひと息入れる時」でもあります。
そのような考え方が、様々な風習となり、
お盆(古くは「盂蘭盆会」といいます)に親戚家族が一同に集ったり、
単身で暮らしていた息子や娘が実家に帰ったり、
お中元や暑中見舞いを届けあったり、
お互いの顔を見合わせて無事を確認し合ったり、
労いあったりするようになりました。
仕事の手を止めてひと息入れることで、心身の状態をチェックし、養生するわけですね。
■消化疲れには、優しいでんぷんをつるつると。
体でいえば、一年中頑張っている「消化器官」も休みたい時期です。
この頃に「そうめん」や「うどん」のような消化に負担の少ないものを食べる意味はこのあたりにあったりします。
食欲不振になりがちな夏のでんぷん補給には、消化に負担の少ないそうめんやうどんは古くから夏の養生食のひとつとされてきました。
夏バテを防ぐためにも、栄養のかなめでもあるでんぷん質の摂取は欠かせません。
ちなみに、手延べそうめんは、昔は寒い時期に作られ梅雨を越すと美味しくなると言われていたそうです。
そしてこんな史実もあるんです。
「現世でお世話になっている人に素麺やうどん、果物などを贈り合うようになったのが「お中元」のはじまり。長く細いうどんや素麺は、無病息災、命が永からんことを願うもので、製粉に手間がかかる麺類は、米に変わる貴重な食材だった。」(「和暦日々是好日」より)
☆ちなみに今年の「中元」は、和暦でいうと七月十五日、西暦だと8月25日です♪
■夏野菜に塩は日本の風流
また「鹹味(かんみ / 海水を煮詰めた味=自然塩の味)」は、ホルモンの分泌や消化液の分泌を助けると言われ、消化力が落ちがちで食欲不振になりやすい夏の盛りに、好んで使われきました。
きゅうりやナスやスイカといった夏野菜は、塩をふってこそ美味しいのは、胃腸に負担がかからずに食べられるためでもあったわけです。
もちろん、イオン膜製法で作られた精製塩ではなく、マグネシウムカリウムといった必須ミネラルの含まれている自然塩がより効果的です。
■冷えやすい現代の夏を助ける薬味、ハーブ、スパイス
外気が暑い時、体は汗をかいて熱を外に出したがっています。
だからといって内臓まで冷やすと胃腸は弱り、気力体力ともに減退します。
体温が1℃下がると、免疫力は30%ほども下がるといわれています。
冷たいジュースなどを飲んで胃腸を冷やせば、消化液の分泌力も、腸内細菌の働きも、一気に低下してしまいます。
そんな中で暴飲暴食を続ければ、その影響は一目瞭然です。
古い時代から、消化力が落ちがちな時期や、食欲不振を助けるものは「薬味」です。
日本で言えば、山椒や、みょうが、生姜、うこんなど。
これら「薬味」は、アジア諸国全域で多種多様に使われ来た「ハーブ」や「スパイス」のことでもあります。
これらの薬効は法規上詳しく書けませんが、ざっくりと、消化力が落ちがちな暑い季節や暑い地域で使われてきた事は間違いありません。
消化力そのものともいえる消化液の分泌や腸内細菌の働きが弱っている時は、無理やり働かせるよりも、休ませたり、助けたり、ねぎらったりすることも大切ですね。
いつもお疲れ様、いつもありがとう、という心で内臓をねぎらうような土用にしましょう。
■お知らせ
次回は、三宅商店新入荷予定のオススメ書籍「マワリテメクル小宇宙」(岡部賢二/ムスビの会)を元にして、改めて季節の養生についてわかりやすく説明します!
☆「マワリテメクル小宇宙」より少し抜粋!
「陰陽五行を知ることで、病気の原因と対策ををつかむことができれば、どんな病気にも対応することができるようになります。病気も五臓の中で循 環しているからです。宇宙ではすべてが循環し、有機的につながっています。この本の最大 のテーマは循環です。」
by冨田貴史
画像提供:HELIO COMPASS 地球暦
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