土用をたしなむ 「夏の土用とお中元と梅の恵み」

■夏の土用に、一年の折り返しのご挨拶を

今年は、7月20日から立秋の前日である8月6日まで続く18日間が「夏の土用」です。

夏の土用は、夏の終わりであり、秋を迎える直前までの時期。

もともとは、夏の終わりは暑さと湿気の極まる時期のことを言います。

そしてこの頃は、一年の中でもとりわけ気が乱れやすい「裏鬼門」の時期とも言われてきました。

台風や豪雨があると思えば、日照りが続いたり、竜巻や雷がやってきたりと、まさに気が乱れ、鬼が出るかのような時期だったわけです。

そしてこの頃は、旧暦(和暦)で言えば上半期と下半期の折り返しになります。

お中元は、一年の真ん中の節目に、親戚や家族、お世話になっている人たちに向けるお見舞いです。

そして「暑中見舞い」は立秋までに届ける手紙で、「残暑見舞い」は立秋以後に届ける手紙です。

これらの行為、作法は「上半期を無事に過ごせたのは、支えてくれた人たちのお陰様」という謙虚さと感謝の気持ちを大切にするライフスタイルの現れでもありました。

一年の折り返しであるこの時期は、日々を支えてくれているものひとつひとつに意識を向け、具体的に言葉をかけあい、贈り物をしあい、それぞれの心身を労いあう為の大切な時期なのです。



毎日使うものだから、本当に良いものを、感謝の気持ちを込めて届けたい。 人や動物、環境のことまで考えられた未来に繋がる贈り物です。

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■夏の土用は、心身のケアもしっかりと

この時期は水分のとり過ぎによる消化器官の冷えやむくみ、胃腸の疲れによる食欲不振や消化力の低下が起こりがちです。

そして、それら諸症状に伴う持久力の低下、体力の消耗、長引く風邪や微熱、だるさなどの出やすい時期でもあります。

さらに夏は、自然界のエネルギーが高く、不摂生してもなんとかなるだろうと、養生不足になりがちな季節でもあります。

そのツケが土用明けにどっと出てきて、夏バテになりやすいとも言われています。

東洋医学において胃腸の力、消化力はそのまま気力に直結すると考えられており、夏バテを防ぐためには「よく噛むこと」「素食にして腹八分目に控えること」などの基本に立ち帰り「消化器官を助けること」が肝要です。



■土用丑の日に「う」の付くものを

土用といえば「土用丑の日」と「鰻(うなぎ)」を連想する人は少なくないでしょう。

この「土用丑」という言葉は、江戸時代の学者であり戯作者であった平賀源内が広めたものです。

「丑」は方角で言うと北東の鬼門方向、一日の中で言うと夜明け前の最も闇が深い時、一年の中で言うと冬の終わりの寒さが極まる頃を表します。

夏の終わりの暑さ極まる土用の頃、季節は折り返し、丑の季節に向かって徐々に寒さが増していきます。

当時、陰陽五行説を理解する人たちの中では「夏の"火の気"を抑制するためには、火と相対する"水の気"を用いるのがよい」とされ、五行において「水」にあたる色である"黒色"で水の中に棲んでいる鰻を食べると、夏の不調を克服できるとされてきました。

さらに古くは奈良時代から「夏痩せには、滋養の多い鰻を食するのがよい」とされていた歴史もあり、これらの事実を踏まえた源内は、売り上げが落ちてきた魚屋からの宣伝の依頼を受けて「それなら人びとが土用丑に鰻を食べるように宣伝を打てばいい」と考えて、町の魚屋に「土用の丑は鰻」と書かれたのぼりを立てさせたと言います。

また、源内の時代の前から「土用の丑の日は体をこわしやすいので健康に気をつけるように」という通説と共に「土用丑の日は"う"の字の付く食べ物を食べると良い」という俗信が根付いていた事もあって、うり、うめ、うどんと共に、うなぎを食べる慣習が広まっていったのでした。



■夏の土用は梅を

江戸時代の日本には冷蔵庫もクーラーもなかったので、内臓を冷やす心配はほとんどありませんでした。

さらにエレベーターもエスカレーターも自動車もありませんから、運動不足の心配もほとんどありませんでした。

現代の夏の土用は、内臓の冷えやそれに伴う水の滞り、むくみ、運動不足による血行不良やそれに伴う消化不良の心配がついて回ります。

体内で行われる消化も、体温や血圧を調整する代謝作用も、細胞や体内に住む微生物達が持つ酵素によって行われています。

内臓の冷えや運動不足によって、体温が下がったり、腸内の温度が下がると、これら体内酵素の働きも低下し、免疫力、消化力は低下していきます。

さらに高タンパクな食品や乳製品や食品添加物を摂れば、その分だけ身体への負担は大きくなっていきます。

鰻はあくまでも消化力の高い人の食べものと言ってもいいでしょう。

そして瓜は、塩を振らない状態で摂ると内臓が冷えすぎてしまう可能性があります。

現代において、夏の土用に適した"う"の付くおすすめの食品は梅です。

梅を材料とした食薬の効能をここで語ることは法律上難しいですが、もしよかったらいろいろ調べてみてくださいね!



■本当の梅干しを!

近年販売されている梅干の中の多くは、還元水飴や精製塩、はちみつ、酒精、調味料(アミノ酸等)、酸味料、甘味料(ステビアなど)、ビタミンB1、着色料、香料などが入ったものになっています。

本当の梅干しとは、農薬を使わずに育てられた完熟の梅を自然塩で漬け込み、十分に土用干しして出来上がったものです。

夏の養生のお供に、ぜひ梅の力を取り入れてみてくださいね!


By 冨田貴史

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