暮らしに活かす陰陽五行『マワリテメクル小宇宙』

■読書の秋は、知恵を実らせる季節

読書の秋は、智慧や理解を整理し、結実させていく実りの季節でもあります。


ニュースソースやタイムラインを追うという意味でのインプットも大事ですが、頭の中でバラバラになっている情報を体系立てて整理したり、智慧の全体像を立体的に育んでいくことも大切なこと。


とりわけ食や身体についての知識は、全体像を掴んでこそ、使えるものばかりです。

要素と要素、部分と部分がどのように結びつき、どのように関係しあっているのかといった「関係性」や「構造」や「法則」が見えてくると、「◎◎さんが言っていたから」とか「◯◯にこう書いてあったから」というところを越えた感覚と理解を通じて「こうしたほうがいいと思う」という内側から湧いてくるモチベーションと共に、行動が生まれてくるものです。


このバランスを表す言葉として「感覚と科学」という表現をしている三宅洋平くんは(手前みそ的ですが)さすがですね。


さて。

これからも継続的にプッシュしていきたいオススメ書籍『マワリテメクル小宇宙』を僕が初めて購入したのは、第一版が発行された2005年のこと。


それから13年の間、自然食や自然療法に関心を持つ方々に紹介し続けながら、何人かの方には寄贈させてもらっているので、かれこれ10冊以上は購入していると思います。


この本は僕にとって、東城百合子さん著の『家庭でできる自然療法』と並んで「一家に一冊以上あっていい本」になっています。

身体の法則や食に対する理解は、実践を通じて変化していくものですし、自分自身の体質が変化したり、意識が変わっていくたびに、「あれ?こんなこと書いてあったっけ?」という発見があります。

何度読んでも終わりということはなく、噛めば噛むほど味が出る、読み返すたびに新しい発見がある本です。

■身体と社会と宇宙と、マクロビオティック

陰陽五行思想をベースにしたマクロビオティックの創設者である桜沢如一氏は「マクロビオティックは何を食べたらいいかという次元の話ではなく、”宇宙そのものをどう捉えるか”という世界観・宇宙観そのものである」と語っています。


さらに「社会活動への関わりなしにマクロビオティックを理解することは出来ない」とも言っていたそうです。


自分の身体だけを見ていても宇宙の仕組みを理解することはできないということなのですね。


宇宙の縮図としての社会。


社会の縮図としての身体。


宇宙と社会と身体は切っても切れない関係にあるということです。


三宅商店がマクロビオティックや自然食、自然素材を大切にしている理由も、身体の健康の為だけでなく、社会変革のためであり、環境のためです。


前述の桜沢如一氏が生前に開いていたMI塾(マクロビオティックインストラクター養成塾)に最も長く在籍していた直弟子である松岡四郎氏との出会いから陰陽五行思想とマクロビオティックを体得した岡部賢二さんは、2011年3月に起こった福島第一原発事故以前から、チェルノブイリ原発事故の影響による内部被ばくのメカニズムをマクロビオティックの観点から見つめ、その対策を実践的に探求する活動を続けていました。


そして福島第一原発事故後は、日本全国を回って被ばくのメカニズム、放射性物質の身体への影響、食や生活習慣の見直しによる対処法を伝えて回っていました。


原発推進の政策を強く進める日本社会において、放射能対策、被ばく対策という言葉を掲げて活動することはとても難しいものがあります。


さらに日本社会全般が放射能問題以前に、科学的エビデンスがないものは信じない、または口に出してはいけない、という風潮になっていることも相まって、岡部さんの活動は強い逆風にさらされていたと言います。


そのような社会的風潮にも負けず、岡部さんは2011年に「1ヶ月間ほぼ寝ずに書いた」(岡部さん談)という、自身の講演録を元にして作った渾身の(幻の)名著『家族を内部被ばくから守る食事法』をリリースしました。


ちなみにこの本は、多くの人達の救いになりつつも、一方で多くのバッシングも受け、現在は絶版になっています。

そして、そんな岡部さんの書かれた初の著書であり、今も広く読まれている『マワリテメクル小宇宙』を勧めたい理由は、社会で起こっている現実に目を向け、逆風を感じながらも傍観することなくそこに向き合いながら言説を続けている、いわば「社会活動家」的なパッションと態度を持った方であるからでもあります。


そして、そんな岡部さんの口から語られるマクロビオティックは、日常感覚に溢れ、すぐにでも取り入れて実践したいと思えるものであります。


そして彼自身が今も日々の実践の中でマクロビオティックへの理解を深め続けている探求者としての姿勢を保っている事に対して強い尊敬を覚えます。


岡部賢二 https://www.musubinewmacro.com/
ムスビの会主宰。正食協会理事。大学在学中に渡米し、肥満の多さに驚いて「アメリカ社会とダイエット食品」をテーマに研究。日本の伝統食が最高のダイエット食品と気づいた後、正食と出会う。講演や健康指導、プチ断食セミナーやマクロビオティックセミナーを全国各地で開催。著書に「マワリテメクル小宇宙~暮らしに活かす陰陽五行」(ムスビの会)など多数。


■はじめに

『マワリテメクル小宇宙』の序文にあたる「はじめに」の一部を引用します。


・・・以下引用・・・

私が講演で全国各地を回る中で、陰陽五行をもっと深く勉強したい、という声を最近たくさん聞くようになりました。自然食品店さん主催の講演会が多いのですが、そうしたお店を経営する店主さんから、健康指導に活用できるような解説書が欲しいという声が上がっていました。そこで、そうしたお店の方々に、相談に来られたお客様を健康指導される際のテキストとして活用していただこうという思いで作ったのが本書です。

(中略)

本書の中では、正食(マクロビオティック)的な食事の取り方が主体となっています。マクロビオティックは桜沢如一氏が世界に説いて回った平和の思想です。穀物菜食を基本とした伝統日本食に立ち帰ることが、今の日本では急務と思われます。そして、五行を勉強されて健康な方が増え、一人一人の中にある無限の可能性に多くの方が目覚めていただければ幸いです。みなさんの宇宙的な進化と発展がなされますよう願っています。

・・・引用以上・・・


食品を売るだけではなく「来店する人たちに健康指導をしたい」という思いを持った、いわば「社会活動としての自然食品店」を経営する人たちの要望によって、実践書として作られたのがこの本です。


そして岡部さん自身も、表面的な健康ではなく「一人一人の中にある無限の可能性」の目覚めと「宇宙的な進化と発展」を願って、この本を書かれています。


この本が、三宅商店とつながる皆さん一人一人の健康を深いレベルで支えるものとして届けら、活用されていく事を、心から嬉しく思います。


今後も、岡部さんのご厚意に甘えながら、この本からの引用を交えつつ健康と養生についてお伝えしていけたらと思います。


text by 冨田貴史










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